2021年05月29日

栃木県立中央公園調査報告


今日は5月最後の調査です。
5月の鳥たちの記録状況をまとめました。

下の図は2014年以降の月ごとの記録種数の変動をまとめたものです。
今年の5月は5回の調査で合計31種を記録しました。
この8年間で最多種数です。

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    公園におけるひと月の記録種数の月ごとの変動

今年の5月が多かったのは、移動途中の夏鳥が多く記録されたためでした。
常連のキビタキやオオルリ、ムシクイ類に加えサンコウチョウも記録されました。
さらには、ヨシ原に生息するオオヨシキリも1羽記録されました。
公園にはヨシ原はありません。
公園に接する人家の庭のキウイの茂みに偶然飛来したようです。
今年は3月が暖かかったものの4月は気温の低い日が続きました。
そのため5月になって夏鳥たちが一斉に渡ったのかもしれません。

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   (渡りの途中に立ち寄ったサンコウチョウ)

一方で、5月に記録されない種や個体数が減少した種がいます。
記録されなくなった?種にセグロセキレイがいます。
この季節、以前は公園の芝生で虫を集める姿がよく観察されていました。
しかし、昨年から記録されなくなりました。
セグロセキレイは隣接する学校の屋上で営巣していたようです。
とすると、何らかの理由で営巣場所がなくなったのかもしれません。
そのため、公園からは離れた場所へ移動してしまったのかもしれません。

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(以前は公園の芝生で虫集めしていたセグロセキレイ)

繁殖つがい数が減少したのはササゴイです。
この公園では2010年代になると急激に繁殖つがい数が増加しました。
2016年には12つがいを記録しました。
しかし、その後減少傾向にあります。
今年は現在わかっているのは3つがいのみです。

宅地の造成で採食地が少なくなったためでしょうか。
それとも捕食者による繁殖成績の悪化が影響しているのでしょうか。
気になります。

ほかにもカルガモのヒナが減ってきています。
昨年は1日だけ6羽のヒナが記録されただけでした。

この公園では6月がヒナの出現がピークとなります。
はたして、今年はどうでしょうか。
以前のように愛らしい姿が見られると良いのですが…。

参加者:7名 記録種数:15種 記録個体数:82羽
次回は6月5日午前6時30分からです。マスク着用でお願いします。
担当:BR平野










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posted by ばーりさ at 15:23| 活動報告

2021年05月26日

さえずりはピークを越えた? 静かな秩父

秩父の2回目の調査に行ってきました。

今回は明日が天気が悪くなりそうなので,急遽予定を変更して昨日今日で秩父演習林に行ってきました。
コロナもあって,急な予定変更には宿舎の対応ができないということで,昨日はここに泊まりました。

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調査地の中に設置してあるコンテナハウスです。中はこんな感じ。

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調査用具の隙間で眠ります。車で登れるようになったので,車中泊用の分厚いマットを持ち込んだので,快適です。

夜は風が吹き荒れて,「天気は良いけど調査になるのかな」と不安になりましたが,明るくなるころには風もやんで絶好の調査日より。でも,鳥のさえずりはこんな感じ。


元気なのはキビタキやヒガラ程度で,寂しい感じです。ライブ音の聴き取り調査で予想はしていましたが,今年は早くもさえずりのピークは過ぎてしまったみたいです。

今日のトピックとしては,今回もメジロのさえずりがよく聞かれたことでしょうか? 越冬期も繁殖期も,下界の鳥たちが,このブナ帯に進出してきているようです。まもなく,モニ1000も第4期が終わり,とりまとめに入るのですが,そこでも,(温暖化の影響なのかはわかりませんが)下界の鳥が分布をあげていることは1つの切り口になりそうです。

こいつもよく鳴いてました。

これも分布を上げているのか,それともシカの影響の緩和なのか,どちらなのか考えていきたいと思います。

久々に食べたわらじカツ丼。サクサクで,けっこういい感じでした。

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posted by ばーりさ at 16:04| 活動報告

2021年05月24日

激坂が大変でしたが,アオバズクを堪能(寝不足ですが)

去年,調査下見でギブアップということで,調査せずに残ってしまった全国鳥類繫殖分布調査の伊豆の調査地に行ってきました。
Googleマップにも載っているような舗装道なので,なめていたんですが,「ブエルタ(激坂で有名な自転車レース)か」と思うのような激坂でした。なんでこんな道つくったんだろう。

調査地の近くの運動公園の駐車場でねぐらをとったのですが,寝ているとアオバズクの声。「これは録音にいいかも」と思って起きだしてとろうとすると,鳴きやんで寝ると,また近くの声で起こされ,録音の準備すると・・・・。3回繰り返しました。朝,調査地に向けて出発するときにも遠くで声がしていたので,夢ではありません。

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調査は,いい感じの中で,できました。激坂は特に下りは足にきました。膝の調子よくてよかった。

前回と比べるとツバメやスズメ,ハシブトガラス,ヒヨドリ,メジロなど,その時多かった種がかなり減っていました。
ソウシチョウ,ガビチョウ,リュウキュウサンショウクイなど,あらたに定着した種とともに,ヤマガラは増えてました。

posted by ばーりさ at 16:09| 活動報告

マミジロの声響く大山沢

なかなか連続して天気のよさそうな日がないので,土日で秩父の大山沢へ夜行日帰りで行ってきました。

車中で寝ていると,夜中に車の屋根をたたく激しい雨音,ちょっと不安になってきましたが,2時半に起きてみると,点々と星が。薄曇りになっているよう。前回の調査で,調査の途中に失くしてしまって,今回新調したヘッドライトを頼りに登っていくと,だんだんと満点の星空に。そして,だんだん明るくなってくると聞こえるこの声。


いい感じです。そしてミソサザイも。そして足元を見ると前回落としたヘッドライトが。前回ミソサザイの声を録音しようとしたときに落としたみたいです。ライトは大丈夫でしたが,バンドの部分がグチャグチャに。獣が嚙んだんでしょうね。

いい調査ができました。

この梅雨の時期らしく,ちょっと美味しそうなキノコがありました。詳しくないので,とりませんでしたが。

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posted by ばーりさ at 15:45| 活動報告

2021年05月16日

ドローンで撮影したガンカモ写真をAIで自動カウント

ドローンで空撮した写真でガンカモやハクチョウをカウントする方法は、遠方でよく見えない群れや、岸から見ると個体同士が重なっている群れを数えるのに役立つのですが、撮影した写真を見て人力でちまちま数千羽を数えるのは、かなり絶望的な気分になる作業です。

そこで、カミエンス・テクノロジー株式会社の協力を受けて、同社のテラドローンという画像処理ソフトに搭載されているAI認識機能でカモのカウントをする実験をしています。なお、この方法は目視カウントより手間はかかりますから、人がカウントできている調査に替わるものではなく、熟練したひとがカウントしないと誤差が大きくなってしまうような大群を数えるための手法になると考えています。

次の写真は茨城県の北浦で昨年12月に撮影した、大半がオナガガモで構成される群れで、AIが認識したカモの種と雌雄別に色が付いています。はじめにカモを種・雌雄別に数百羽ずつAIに学習させ、その後、AIにすべての写真を分析させて、学習したカモの画像と一致する物体をカウントさせました。

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自動認識できたのは次の4カテゴリーです。なお、オナガガモの雌雄の区別は完璧ではありませんでしたが、私が写真を目で見ても判別に迷うくらいの写真写りなので、AIにも難しかったと思います。まだAIの学習データが不十分なので、認識精度の検証は次の段階で行う予定です。
  • オナガガモ♂    1,018羽
  • オナガガモ♀    2,769羽
  • ホシハジロ♂    74羽
  • オオバン        19羽

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撮影したのはおよそ250m四方ですが、撮影範囲の東側にもかなりのカモがいたようで、残念ながらこの場所の群れ全体をカウントすることはできませんでした。現在の小型ドローンのカメラ性能ではカモ類の識別には高度20m以下での撮影が必要で、そうすると写真一枚の撮影範囲が狭くなってしまい、1回20分程度の飛行時間で撮影できる範囲はこのくらいなのです。バッテリーを交換して何度も飛ばせば広い範囲の撮影も可能ですが、カモの群れは撮影中にも動くので、あまり時間をかけるわけにもいきません。ドローンの性能は急速に向上しているので、近い将来、高い高度から効率よく撮影できるようになることを期待しています。

来シーズンの調査に備えていろんなカモの写真をAIに覚えさせたいのと、北浦ではオナガガモが大半だったため実験できなかった異なるカモの雌同士のAI認識を試すため、4月上旬に北海道のコムケ湖で空撮をしてきました。AI認識はまだ作業中ですが、ちょっと興味深い写真が撮れたのでご覧に入れます。

これはコムケ湖で撮ったスズガモの群れです。オスが先に繁殖地を目指すためなのか、このとき撮影した群れはほとんどオスばかりでした。潜水ガモ類はペア形成が遅くて、春の渡りの途中か、繁殖地に着いてからペア形成をすると言われています。じつは9月に道北で空撮したときにもスズガモはオスばかりということがあったので、雌雄の渡りのタイミングの違いを調べられたらおもしろいなと思いました。

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posted by ばーりさ at 12:59| 活動報告