2019年12月25日

宮崎椎葉もアトリ類が多かった

佐渡に続き,宮崎の椎葉村の調査地に行ってきました。
シカ,相変わらず多いです。調査定点では必ず姿か声を記録できるほど。
林床植生はさらに何もなくなっていました。

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鳥の方はイカルやマヒワの群れが見られました。アトリも少ないながら記録されました。佐渡も多かったし,調査結果の届いた栃木の那須の調査地でも多かったので,今年は山には多そうですね。
アオシギやハイタカの水浴びも見られて満足。

鹿児島空港経由で調査地には行ったので,鹿児島で食べてきました。黒豚のカツ丼です。甘めでツユダク。九州らしいカツ丼です。九州北部は蒲鉾が入るのがスタンダードですが,南は入らないような。もうちょっと情報収集してみます。

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posted by ばーりさ at 10:57| 活動報告

フィリピンの森林コーヒーは日本でも購入できます

昨日のブログ記事に書いたフィリピンのコーヒー農園ですが、見学させてもらうときに、コーヒーの実の摘み取りをお手伝いしました。コーディレラ(Cordillera)地域では10〜12月がコーヒーの収穫期です。

コーヒーの実。赤く熟したものから摘み取るので、3ヶ月くらい収穫期があります。
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コーヒーの木は高木になりますが、それでは収穫できなくなってしまうので、2mほどの高さで剪定しています。ここはハヤトウリ畑だった場所に植林したハンノキの下にコーヒーの木があります。周囲の藪からは「キーリン」というノゴマの地鳴きが聞こえました。
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ハヤトウリの収穫は50キロもの瓜をかついで急斜面を上り下りする辛い作業ですが、コーヒーの収穫はあまり動き回らなくてよいので、だいぶ楽です。ただ、ハヤトウリは週に二回出荷できるので日々の現金収入になりますが、コーヒーは年に一回しか出荷できません。この地域では貯金する習慣のない農家が多いため、定期的な現金収入にならないないことがハヤトウリからコーヒーへの転換が難しい一因になっているそうです。

みんなで摘んだコーヒー。CGNスタッフのマイラさんはSagpat村の出身です。
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皮むき器でコーヒーチェリーの皮と果肉を剥がし、種子を取り出します。果肉はわずかしかありませんが、食べると甘い味がしました。
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それから一日水につけ、種子にこびりついている果肉を発酵させて除去してから天日干しします。噛んでも歯形が付かないくらいまで乾燥したら、出荷できるようになるそうです。
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Sagpat村の集会所で、コーヒー農家の皆さんと野鳥について勉強しました。
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双眼鏡の使い方を説明しています。
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農家の皆さんは、鳥を見つけるのがとても早いので驚かされました。
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Cordillera産のコーヒーは、品評会で高級なスペシャリティーコーヒーの基準になる80点を獲得している、おいしいコーヒーです。日本では、シサム工房で購入することができます。ぜひ、味わってみて下さい。

私を招いてくれたCGN(Cordillera Green Network)は、反町真理子さんが設立したNGOで、この地域の農家が持続可能な森林農法で自立できるようになることを支援しています。詳しくはこちらのWebサイトをご覧下さい



posted by ばーりさ at 10:55| 活動報告

野鳥調査の授業(守屋・奴賀)

奴賀さんと、東京都立科学技術高校で野鳥のモニタリング調査の授業をしてきました。

新宿御苑での観察や猿江公園での調査では、興味のある生徒が多いのか、都内の公園の観察でけっこう鳥を見つけることができていました。また、写真を撮って後から確かめたりする生徒もいて、望遠カメラの普及は調査の質を変えるなあと感じました。
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座学では、モニタリング調査の説明をし、調査結果の精度の違いが何によって起きるのかなどを考えてもらいました。
また。興味や疑問点を上げ、調査計画を立ててもらいました。カラスとゴミの関係やメジロとツバキなどの関係とかいろいろと調べてみると面白そうな提案をしてもらいました。
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実際の調査の運用となるといろいろと難しいこともできてくると思いますので、解決したり、また新しい工夫が出てくる経験までできるとよいですね。

高校の授業は一単元50分なんですね。今回は、しゃべりすぎました。
こちらも難易度の調整など、良い経験をさせてもらっています。

posted by ばーりさ at 10:22| 活動報告

2019年12月24日

フィリピン山岳地帯のコーヒー農園に越冬ノゴマがいた

毎日コーヒーを飲まれる方は多いと思いますが、コーヒーはどのような畑で栽培されているかご存じでしょうか? 挽き豆コーヒーに使うアラビカ種のコーヒーの木は高木の日陰で栽培するので、コーヒーの木だけが並んでいるような畑ではなく、他の樹木も生えた場所で栽培されています(※)。そのため、コーヒー農園はそこが作られる前にあった森林の代わりに、ある程度の野鳥が住める生息地になっているのです。これは日本で湿地があった場所に作られた水田が、もとは湿地にいた野鳥の代替生息地になっていることと似ていますね。熱帯地方では農地の拡大が森林破壊の主要な原因になっているのですが、現地の植生を残したコーヒー栽培は、野鳥を守りながら持続的に行える農業形態です。そして熱帯地方での野鳥保護は、私たちに日本のバードウォッチャーにとっても無関係ではありません。なぜなら熱帯のコーヒー農園では、日本の夏鳥たちが越冬しているからです。

※ 近年では生産性を高めるために直射日光のもとで栽培できる品種のコーヒーの木がつくられ、樹木を皆伐してコーヒーの木を密植する農園が増えてきています。そのため、森林の代替環境である伝統的なコーヒー栽培を維持することが熱帯の野鳥保護では重要になっています。

高木の下で行うコーヒー栽培の中でも、特に野鳥の生息に適した植生を維持しながら生産されているコーヒーを認証する制度があります。アメリカのスミソニアン渡り鳥研究所の定義した基準を満たしているものがバードフレンドリー・コーヒーです(認証基準)。バードフレンドリー・コーヒーのような厳密な数値基準はないようですが、森林環境を保全しながら栽培したコーヒーの認証にはレインフォレストアライアンスの認証制度もあります(認証基準)。これらの認証を受けたコーヒーは日本でも販売されていますが、私が知っているバードフレンドリー・コーヒーはすべて中南米産です。レインフォレストアライアンス認証も中南米産が多いようです。

小川珈琲とKALDIが販売しているバードフレンドリー・コーヒー
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日本の渡り鳥が越冬する東南アジアでもコーヒーが生産されていますから、東南アジアで野鳥の生息地を守っているコーヒー農園で生産されたコーヒーを購入することで、日本の夏鳥を守ってくれている現地農家を応援できたらいいのにと考えていたところ、フィリピンでコーヒー栽培を支援しているCordillera Green Network(以下、CGN)というNGOから、コーヒー農家に野鳥の大切さを説明する講座をしてほしいという依頼が舞い込みました。図鑑を見ると、日本の夏鳥が分布している地域です。ぜひとも協力させてもらいたいと思い、12月10日から13日にかけてフィリピンのコーディレラ(Cordillera)地域を訪ねました。

ルソン島山岳地帯でのハヤトウリ栽培と森林破壊

コーディレラ地域はルソン島中部の山岳地帯で、標高1500〜2000mに村々が点在しています。
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この地域では、伝統的には急峻な斜面にある棚田で稲作を行って自給自足の生活をしていましたが、2000年頃から換金作物としてハヤトウリを栽培するようになりました。このことで、次のような問題が生じています。

  • ハヤトウリ畑は耕作を続けると地力が減退する。さらに、コーディレラに平地はほとんどないのでハヤトウリ畑は斜面林を伐採して作られるが、森林被覆を失った斜面では強い雨が降ると表土が流出してしまう。そのためハヤトウリ栽培を持続的に行うことができず、村人は次々と森林を焼き払ってハヤトウリ畑を広げてていった。
  • 大量生産されるようになったことでハヤトウリの価格が下落し、さらに、ウリ科植物に感染するウイルス性の病気が蔓延して、ハヤトウリの生産効率が落ちてきている。このことも、ハヤトウリ畑を広げる原因になっている。
  • ハヤトウリの単一栽培と栽培面積の拡大は、水源林破壊や斜面崩落という環境悪化を起こした。そして急斜面での過酷な農作業やハヤトウリ価格の下落によって住民の生活レベルが低下し、コーディレラでは若年者の自殺や都市への若者の流出が生じるようになった。

これらの問題を解決するためCGNが農家を支援して、疲弊したハヤトウリ畑への植林と、植林地でのコーヒーの有機栽培を2006年から開始しました。コーヒー農家は次第に増え、いまではCGNが扱っているだけでも年間5トンのコーヒーが日本に輸出されています。1kgの出荷価格はハヤトウリが3ペソであるのに対し、コーヒーは300ペソにもなるので、コーヒー栽培を通して住民の生活向上と森林保全を両立させることができます。

斜面を覆っているハヤトウリ畑。
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コーヒーの実。赤くなった実から収穫していきます。
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コーヒー農園の環境

私はフィリピン産の野鳥が分かりませんし、日本の夏鳥は越冬地では(おそらく)さえずっていないので、今回の旅ではコーヒー農園の環境を見て回り、今後の野鳥の調査方法を検討することを目的としました。私が訪問したのはの、コーディレラ地域のベンゲット州KibunganにあるSagpat村です。この村のコーヒー栽培地の環境は、次のように分類できます。

自生している森林
住民の共有林で、フィリピン政府が伐採や農地利用を原則として禁止しています。しかし住民自身も利用できない共有林では住民にとって保全する価値がないので、三年前に一部でコーヒー栽培が認められるようになりましたが、松が主体の森であるため土が酸性になるそうで、コーヒーの木はうまく育っていません。でも松の下では広葉樹が育ち、暗い森になってきているので、将来は広葉樹林に更新されていくのかもしれません。この森には地域本来の鳥類相が残っていると思われます。

コーヒー農園 タイプ1 植林木とコーヒー
ハヤトウリ畑からコーヒー農園に転換するには、まずハンノキやベニゴウカンなどの成長が早い木を植え、その下にコーヒーの木を植えます。ひとつめのタイプは、植樹した木とコーヒーの2種類の植物しかないコーヒー農園です。こうした農園だと、生息できる野鳥は少なそうです。

コーヒー農園 タイプ2 周囲に藪がある
コーヒー農園にはハンノキとコーヒーの木しかないのですが、周囲が藪になっているパターンがあります。このような場所では、ムシクイ科のように藪に営巣して、樹木の上で採餌したりさえずったりする野鳥が見られそうです。

コーヒー農園 タイプ3 現地植生に近い
もともと森林だった場所にコーヒーの木を植えている農園がありました。1ヘクタールほどの広さしかありませんが、広葉樹を中心に多様な樹木と藪があり、多くの野鳥が生息できそうです。下の写真がアーノルドさんの農園。ご本人は「ジャングル農園」と言っていました。黄色で囲ったのがコーヒーの木。
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ノゴマの声が聞こえた

現地にどんな野鳥が生息しているか分からないので、Sagpat村へ出かける前にCGNに頼んで、農家に野鳥図鑑を見てもらい、見たことのある野鳥を選んでもらっていました。そして選ばれた野鳥の中に、日本の夏鳥が一種だけいました。ノゴマです。Sagpat村に来てみると、なんと、ノゴマは住民の誰もが知っている野鳥でした。現地ではノゴマの地鳴きにちなんで、キーリンという名前で呼ばれていて、私も数カ所でノゴマの声を聞くことができました。ノゴマは藪の中にいるようですが、声を聞いたのは狭い藪ではなく、やや広い面積の藪がある場所でした。なお、このキーリンという鳴き声は日本野鳥大鑑のCDにあるのですが、ネット上では見つけることができませんでした。(2020/02/05追記 キーリンという声はノゴマの警戒声で、繁殖期に北海道の生息地でも聴くことができるそうです。)

繁殖期のノゴマのオス(TOKUMI 撮影 北海道大雪山系旭岳)
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現地の伝承によると、キーリン、キーリンという鳴き声が聞こえたら、その年最後の大きな台風がやって来るのだそうです。ノゴマの声は11月初めごろに聞こえはじめて、12月までで聞こえなくなるといいます。そうだとしたら、この地域は中継地に利用されているのか、それともジョウビタキやモズのように秋の飛来直後に縄張り作りのためによく鳴いて、そのあとは声を立てないのかもしれません。

村の年配者に聞いたところ、昔はノゴマを狩猟していて、藪の中の獣道にくくり罠を仕掛け、カタツムリを餌に置いておくと、ノゴマが捕れたそうです。たしかにフィリピンの野鳥図鑑には、ノゴマは草むらにある道沿いで餌を採ると書かれているので、そうした生態と一致します。実のところ野鳥の狩猟はいまも続いているようで、アーノルドさんの「ジャングル農園」を訪ねたとき、子供が昼食のためにアカモズ(カラアカモズかな?)を袋に入れて持っていたので、私たちがお弁当に持ってきた鶏肉と交換して逃がしてあげました。Sagpat村ではどこへ行ってもアカモズの高鳴きが聞こえていて、普通に見かける鳥でした。

子供に捕まっていたアカモズ(カラアカモズかな?)。逃がしてあげました。
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ノゴマについての伝承は台風の他にもあって、お葬式のときにノゴマの声が聞こえたら、魂が彼岸へ行った印なのだそうです。他にも野鳥についての伝承で面白い話を聞きました。たとえばフクロウの声を早朝に聞くと、身近な人が死ぬそうです。アーノルドさんのおじさんがフクロウの声を聞いた日、おじさんはアーノルドさんを呼んで、「悪いことが起きそうだから、ニワトリを生け贄にしよう」と言ったそうです。この地方では悪いことがあると、例えば病気にかかるのは精霊が悪さをするせいなので、生きものを生け贄にするという習慣があります。たしかに体の具合が悪いときにニワトリを食べるのは理にかなっていますね。

夏鳥を守るコーヒー農園を支援したい

コーヒー農園の高木に現地産の樹種を増やし、さらに農園内外に藪を生やして野鳥の住みやすい環境を作れたら、バードフレンドリー・コーヒーという付加価値を生み出せるだけでなく、害虫防除のメリットもあります。ムシクイ科などの野鳥がいるコーヒー農園では、コーヒーの害虫であるコーヒーノミキクイムシの被害が抑制されることが分かっています(Karp 2013)。

コーヒーノミキクイムシとは違いますが、Sagpat村のコーヒーの木の幹の中にいたカミキリムシの一種です。成虫は野鳥が食べてくれるはずです。
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今回訪れた地域でコーヒー農園にどのような植生があれば野鳥にとって好ましい環境になるかを調べ、持続的な生産ができないハヤトウリ畑を森林農法のコーヒー農園に転換していくことを支援できないかと考えています。

紹介したフィリピン産コーヒーは日本でも購入できます。次の記事をご覧下さい。

posted by ばーりさ at 22:36| 活動報告

2019年12月23日

ハクチョウ調査説明会を実施しました(佐藤)

  昨年度実施した宮城ハクチョウ調査はエイジスさんと実施しましたが,今年度はエイジスさんだけでなく、野鳥の会宮城県支部さん、東北大の学生さんなどと一緒に実施して、 規模を拡大したいと考えています。今回はそのための説明会&ハクチョウに関する話題提供を実施しました。  
 午前中は昨日同様、エイジスさんとハクチョウのねぐらの下見を行い、午後は仙台市内でハクチョウ調査の説明会を実施しました。 佐藤はオオハクチョウやコハクチョウの世界の分布や越冬地について、嶋田さんには宮城のオオハクチョウの生態や渡りについて、 平泉さんには県内のオオハクチョウとコハクチョウの分布状況について、それぞれ話題提供しました(詳細はこちら)。  おかげさまで地元の情報はもちろん、調査方法についてなど、活発に議論ができました。 懇親会では多くの方と話すことが出来て、1月の実施が楽しみとなりました。  ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。1月の調査も宜しくお願いします。
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posted by ばーりさ at 15:42| 活動報告